récit

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「記憶の地図」という言葉は、なんて心をくすぐるんだろう。それは、平面のただの地図ではなく、彫り深く立体的な形をしているんだ。

その地図の上には、幾つかの出来事が記号的に示されている。まず、僕は空を飛ぶ鳥になり眺めてみる。
鮮やかな記憶や痛みを伴う思い出は、電光のようにあちらこちらで瞬いている。

上空から見ていると、様々な思いが漂い始めるが、その中には、どうしようもなくぼんやりとしていて、思い出せない感情が静かにひそんでいることに気がつく。

そこで、僕はこの地図の深いところへと魚になり潜り込んでみる。

その記号たちは、重なり合った言葉の象徴だ。
忘れ去られた物語が、そこには密かに息づいている。形を成さずに沈んでいるそれらに、言葉を与えることで、まるでもう一人の過去の自分と遭遇するような感覚になったのさ。

「記憶の地図」

6/16/2025, 11:52:46 PM