冬になったら、何をしましょうか。
冬になったら、どこに行きましょうか。
冬になったら。貴方は何処へ行くのでしょうか。
こんなことを聞いても答えは返ってこないけれど、それでも貴方の声を探すきっかけにしたくて聞いてしまうのです。
また一つ、貴方が居ない季節を迎えてしまいました。
それは儚い雪のようで、手の温度に耐えきれず溶けてしまう。きっと今私が見ている世界は幻想そのもの。
びゅうびゅうと私の横を通り過ぎていく風は、冷たく痛く。それを受け止められても、貴方が居ない現実だけは受け止めてあげられない。弱い。私は弱い。
今も貴方はどこかで笑っているのでしょう。そうに違いない。きっと、温度の下がったこの街でコートのポッケに手を入れて、可愛い白い息をふわふわと出し、ほっぺは赤いリンゴのように熟しているのでしょう。
私はそれを見られないけれど、きっとそうに違いない。
冬になったら、何かが変わると思っていた。
貴方の居ない現実を受け止めて、前に進めると。
けれど、そんなことは無くて、貴方が居ない季節をただ葉っぱのように風に飛ばされてしまうのみ。
本当に冷たく痛く。私の意思など関係なしに、全ては流れのって進む。
貴方は、今どこに居ますか。
ちゃんと、ご飯を食べて、寒いながらも胸をはり、笑顔で生きているでしょうか。
きっと、本当は私も季節のように変わりつつある。けれどそれは、良い方向なんかじゃなくて。
貴方の背を追い求めて、雪のように溶けてゆく。
冬になったら、貴方に会いに行きましょうか。
11/17/2023, 11:56:55 AM