せつか

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「無垢」――純真で汚れの無いこと。

「そんな人間いるのかな?」
「少なくとも俺らじゃねーな」
「分かってるよ」
「生まれたばっかの赤ちゃんならともかく、大きくなるにつれて汚れてくのが人間だからな」
「じゃあ無垢な奴は人間じゃねーじゃん」
「妖精だ、妖精」
「ってか、そういう奴は極端に生きにくいか、逆に人生を謳歌してるかのどっちかだろうな」
「どゆこと?」
「そういう奴って、人の悪意にも気付かないんじゃないじゃねーの?」
「ああ。うーん、どうなんだろな?」
「ま、俺らみたいな汚れきった人間とは違うんじゃねーかな?」

何も描かれていない真っ白なキャンバスは、それだけではただのキャンバスで。
色が乗り、白でなくなる事で初めて意味が生まれる。
真っ白であること。何かに染まり、白でなくなること。
どっちがいいとかどっちが悪いとか、比べる事じゃないんだろうな。


END


「無垢」

5/31/2024, 3:18:34 PM