「助かった、ほんとにありがとう」忙しそうだから、手伝った。それだけだった。彼ははにかんだ笑みを私に見せた。その瞬間、身体に熱を感じた。太陽の日差しが強いから?顔を見られて恥ずかしかったから?――彼の笑顔が、陽のように眩しかったから?ううん、と小声で言い、ぱっと背を向ける。視線の先には窓があり、私と彼を映していた。彼が荷物を置き、友達と話していた。そこが私だったら、と思った。今の世界は、モノクロが少し色づいたように見えた。
7/2/2024, 2:17:32 PM