[流れ星に願いを]
「そういえば、君はもう知ってるかい?」
「何がです? というか先輩まだタスクいくつも抱えてるじゃないですか、雑談してる暇あるんですか」
僕の言葉に水を差されたのか、キラキラと輝いた目から一変して拗ねた顔を見せてくる。拗ねてる顔も可愛いからやめてほしい。
「い、いいじゃないか、適度な休憩は効率アップの定石だろう? なぁ、少しくらい先輩の休憩に付き合ってくれてもバチは当たらないだろう?」
仕方ないですね、と口にすればまた先輩の目が輝く。全く、そこまでして僕に聞かせたい話ってなんなのか。
「今日流星群が降るらしいんだ!」
「あぁ、オリオン座流星群でしたっけ」
「なんだ、もう知ってるのか」
「SNSもどこでも結構話題ですからね、そりゃぁ知ってますよ」
「そうか……」
「え、それだけ?」
流星群のことを教えたいだけだったのか、と拍子抜けはしたものの普段の先輩はどこか抜けてたことを思い出した。仕事は出来るくせに本当、何なんだよこのギャップは。反則だろ。
「はぁ……。で、先輩は何を願うんですか?」
「あぁ、考えてなかったな。そうだな……」
「君が、私に振り向いてくれますように……って願おうか」
「なっ!?!!!??!」
条件反射で先輩の方を振り向くと、彼女は楽しそうに笑っていた。
4/25/2023, 10:58:42 AM