スランプななめくじ

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1年前の朝だった。君が起きて来なかったのは。
いつものように朝日が差し込む部屋で、
君は幸せそうに眠っていた。

君の部屋には空っぽになった睡眠薬の瓶。
手首から流れていた血。頬には泣き跡。
身体中には他人から付けられたような打撲の痣。
「疲れた。おやすみ。」とだけ書かれた遺書。
君は、どれだけ苦しんでいたのだろうか。
何故、気付いてあげられなかったのだろうか。

君を苦しめていた人達は、今日を当たり前に享受する。
君の死が生きている人達の記憶に残ることは無い。
君のいない日常は、涙が出るほど変わりなかった。

早く君の元へ逝きたいんだけど、眠るのが怖くて。
君を憶えている人が居なくなるのが、恐ろしくて。
僕も君の様に忘れ去られてしまうのが、寂しくて。
もう少しだけ、夜更かししていてもいいかな。

6/16/2024, 12:55:55 PM