初めて君を知ったのは、花が咲き乱れる公園だった。
色とりどりの薔薇に囲まれた君は、
どんな花より美しく映っていて。
一目で心を奪われた。
それから何度か公園で会い、話しかけて、
気付けばピクニックをする仲になった。
君が案外笑い上戸な事、涙脆いこと。
知れば知るほどに、心が惹かれていくのがわかった。
何度目かもわからない、約束の日。
君との待ち合わせ場所に向かう途中で、
ふと目に留まった花屋。
店先に並んでいた真っ白な薔薇を見た時、
笑顔の君が頭に浮かんだ。
花を手に取るのに、それ以上の理由は要らなかった。
君は初めて知った時と同じように、
鮮やかな薔薇に囲まれて、僕を待っていた。
こちらに気付いて微笑む君に、
駆け寄りたい衝動を抑える。
震える手を押えて、君の前に白薔薇を差し出す。
花束なんて大層なものは、買えなかったけど。
この一輪に全ての想いを込めたから。
「好きです。出会った瞬間から、ずっと。」
どうか、この想いが届きますように。
2/9/2024, 11:15:13 AM