夢月夜

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『今一番欲しいもの』

俺の今一番欲しいもの。
それは……
推しアイドルの会員様のみ購入可能、数量限定のプレミアムフィギュアだ。
これは抽選でははなくネット販売という所が粋なはからいをしてくれるぜ。
抽選だと運になっちまうからな。
しかし、このフィギュア争奪戦は想像を絶する戦いになるだろう。
俺は販売時間までコンディションを整え、販売開始30分前にはパソコンの前でスタンバイしていた。
気合いも体力も十分。この戦を戦いぬかんとする俺はさながら令和の織田信長といったところか。
向かうところ敵無し!

販売開始まで後10分……5分………3分
1分を切ると俺の額から汗が流れ落ちた。この日の為に連打技術も学んできた!抜かりはないぜ!
販売開始まで後10秒、5、4、3、2、1、
よし行くぜ!!!

プツン
エンターキーを押す前に突然モニターどころか部屋の明かりが一瞬にして消えた。
あれ、……あれ、画面が暗い?何故だ!?

「お父さんごめん、ブレーカー落としちゃった~」

暗闇の中聞こえてきたのは母の呑気な声。

オーマイガーッ!!マジか!敵はそこにいたのかよ!!お前が明智光秀だったのか!母よ!!
俺は叫びながら頭を抱えた。

程なくして電気が戻った事でパソコンの画面は就いたが、そこには完売しましたの文字。

織田信長破れたり……。

俺は暫く魂が抜けた屍の様に机に突っ伏していた。

俺の今一番欲しいもの。……時を巻き戻す力。
俺の努力を返してくれぇえええっ!!



7/22/2022, 9:27:33 AM