宝物は、大切にしなさい。
そうしないと、壊れてしまうから…。
小さい頃、そう言われたけれど私にはピンと来なかった。
何故か?
……私には、宝物と呼べるものがその時は無かったから。
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「紗雪〜、朝ごはん出来た」
「は〜い。今行く〜!」
「………今日もバタバタしてるね」
「そう思うのなら、起こしてよっ!」
「ごめん。寝顔が可愛かったから」
「思ってもないこと言わないで!どうせ面倒くさいとおもったんでしょ?!」
「…………本音なのにな〜」
私には今、付き合っている人がいる。
彼は在宅の仕事をしている為、家事は殆どを任せてしまっている。
そんな、彼は家事がとっても上手。
……それに比べ、私は今日も起きるが遅かった。
「………昔ね。お母さんが言ったの」
私は朝ご飯を食べながら彼に昔母にされた話をする。
「宝物は、大切にしなさいって」
「うん。よく言うよね」
「……でもね、私、その当時はよく分からなくて。宝物と呼べるものなんてなかったからさ」
「ぬいぐるみとか、お人形とか、そういうおもちゃなかったの?」
「あったけど、それが宝物かって言われたら、違ったの」
「ふ〜ん。」
「………でもね。今は出来たんだよ。宝物」
「……どんな宝物ですか?」
「それは、目の前にいらっしゃいますよっ」
「……………。俺?」
「そう。俺っ!俺の事宝物だから、大事にしないとな〜」
「………(笑)その割には当たりが強くないですか?」
「あたりの強さは、甘えの裏返しです」
そういうと、彼は笑顔で困ったな〜と言った
大人になった私には、宝物がある。
彼が大切で、大事な宝物。
小さい頃の私、その時に分からなくても大丈夫。
今ならちゃんと、お母さんの言ってた事がわかってるから…。
11/21/2023, 4:45:36 AM