暗がりの中で
暗がりは毎日ある。ないと言う人は夜がない土地に住んでるんだろう。そういう土地がないとは言わない。太陽が5個くらいある惑星系だとあんまり夜こないんじゃない? アイザック・アシモフにも「夜来る」ってお話あったよね。
そう、普通に生きてたら毎日暗がりがある。暗がりは昼日中にもあって、それはたとえばカクレンボにほ楽しい空間だよね。
そういう問題じゃないと?
うん。気づいてた。きみは暗いとこにいないと生きられないと、そう、そうだよ、そう思ってるんだよね?
じゃあいまからぼくと南半球真夏ツアーに出かけよう。君の知り合いは誰もいない。きみを指さし妖怪や悪魔扱いするやつもいない。きみが本当に明るい日差しがだめなのかはビーチで日差しに当たってから決めよう?
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ていうかこんなのより私が書いたせなけいこ追悼文読んで!
せなけいこさんが亡くなった。代表作「ねないこだれだ」も好きだけど、めがねうさぎもばけものつかいもすきだった。「きれいなはこ」が特に大好きだった。こどもがはじめて出会う異形の絵本は、子どもが異形と化す絵本でもあった。せなけいこさんの絵本の中ではオバケもかわいい猫も犬もこどもも等価なものであって、オバケだから怖がられることもないかわりに、こどもだから特にかわいがられることもなく、こどもも排除される恐ろしいものになりうる恐ろしい世界を描き、それでも読者に愛される不思議な絵本を作った人だった。
「きれいなはこ」はきれいなものを自分のものにしようとして異形になってゆくわんちゃんやなんかを描いて本当に怖かった。落語に取材した「ばけものづかい」ではばけものの気持ちがわかって不思議な気がした。「めがねうさぎ」はうっかりめがねを天ぷらにするうさぎが本当にバカバカしくて親近感が持てて楽しかった。
でもやっぱり、せなけいこさんの最高峰は「ねないこだれだ」なんだと思う。夜を怖いと思う気持ち。でも夜を起きていたい気持ち。そして夜を起きているとオバケになってしまうというあの恐怖。
せなけいこさんはもう長く生きたのでゆっくりお休みしてほしい。でも気が向いたら、この世にときどきやってきて、オバケとしてみんなをびっくりさせてほしい。
10/28/2024, 11:30:41 AM