「ENJOY♪音楽は鳴り続ける
IT‘S JOIN届けたい胸の鼓動〜」
梨花は、イヤホンでココロオドルを聞き、口ずさみながら夜の道を歩いていた。
雪と別れた後、ふとお菓子が食べたくなり、コンビニまで向かったのだ。
レジ袋をがさがさと持ちながら、るんるんに歩いていく。
日が落ち、暗闇に侵食していった道の怖さを和らげるために、この曲を聞いている。
題名の通り、心が躍る曲だ。
ふと、自身の手に違和感を感じた。
袋を持っていない方の手、左手を見ると、手が黒に染まっていた。
「ひっ!?」
墨汁でも溢したようなその手に驚き、顔を遠ざける。
自分でも何が起きているかわからない
手を閉じたり開いたりする ちゃんと連動し、自身の手だと理解ができる。
しかし、このような色になっている理由に心当たりは無い。
「と、とりあえずお母さん達に相談しよう…うん」
少し距離のある道を、駆け足で走る。
これが、物語の始まりとは知らずに。
お題『ココロオドル』
10/9/2023, 11:18:39 AM