池上さゆり

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 私の中には自分を幸せに導くためのルールがある。
 例えば、どんな時でも信号は守るとか、学校の授業で一日一回は挙手するとか、人がやりたがらないことを率先してやるとか、そういった小さなルール。守り続けたところで、誰かのためになるわけでもなければ、自分が得をするわけでもなかった。
 ただ、そういったことの小さな積み重ねがいつか、何か形になって返ってくると信じている。
 だからこそ、私には許せないものがある。
 それは社会で一般常識とされているようなルールを守れない人間だ。平気でゴミをポイ捨てしたり、路上喫煙をしていたり、歩道を走る自転車だったり。それが身近な人であればあるほど強い憎しみに似た感情を抱く。優等生な私はそういった人に注意をするが、大抵は無視されるか、文句を言われるかのどちらかだ。
 だから、三回目のの警告を無視した人には罰を与えなければならない。
 今、目の前で悶えているクラスメイトがそうだ。人に万引きを命じたり、未成年なのにタバコを吸っていたり、校則を守らなかったり。
 拘束されて、まともに動けない状態で理性のない動物のように言い訳を述べたり、命乞いされたりした。当然、聞き入れる耳は持ち合わせていない。だって、仏の顔も三度までなのだ。ルールを守れないゴミはこの世の中にはいらない。
 だから、みんなが安心して暮らせるように。綺麗な街を保てるように。犯罪がこの世から亡くなるように。
 その命を代償として、この世から消し去る。誰もやらないから私がやるしかない。法律とか倫理とか関係ない。
 私が、ルールだ。

4/24/2023, 4:10:37 PM