ボロボロの体に障らないように、ツヤツヤのかたい翅をそっと撫でる。
1年生活を共にした虫の寿命が尽きた頃、羽化不全で上手く体が作られなかった新しい命が、我が家には居た。
長くは生きられない様子を不憫に思い、日々世話をしてきたけれど、予想に反して食欲は旺盛であるし、ある時はゼリーの中に仰向けに埋まった状態でピクリとも動かず、
「もはやこれまでか…。」と諦めつつゼリーから救い出してやれば、何事も無かったかのように土へ潜って行った。
見た目の悲惨さとは裏腹に、生命力の強い子なのだ。
「ご飯食べなさいよー。」
今日も生存を確認し、声を掛ける。
次の夏まで一緒に居られますように。
1/15/2025, 5:17:16 AM