ふうーと息を吹きかけると、その先端は僕の息に合わせて揺れた。
もうひとつ。ふーっ。
「それ、楽しい?」
羽根に息を吹きかけられている当人がつまらなさそうに尋ねた。
「うん、楽しい」
僕は表情は変えぬまま答えて、もう一度ふーっ。
かれこれ10分はやっているだろう。
天使の彼女は自分の羽先をひたすら吹き続けられるという苦行に耐えている。
「わたし、何かしてていいかな?」
「もう少し我慢して。少しでも動くと揺れ方が変わってしまう」
僕が答えると、彼女は呆れてため息をついた。
/10/25『揺れる羽根』
10/25/2025, 2:50:35 PM