毛布

Open App

この言葉「不条理」、確かに気になってたんですよね。

原語では英語なら”absurdity”、これは形容詞absurdの名詞形なんだけど「不条理」「不合理」以前に「馬鹿げてる」という意味もあって、自分は本来は後者の意味が主体で、嘲笑のスタンスからの言葉なんだろうなと思ってた。
だから「彼はabsurd」と言った時には、「関税上げたら輸入品が売れなくなるし、さらに上がった関税も負担するんだから自国の輸入業者が踏んだり蹴ったりだろ??」だと思う。

でも「不条理」と訳すと、逃げ場のないやり切れないスタンスを余儀なくされる。某ゲームで、壁の後ろに逃げてんのにボスの大斧が物理的にスカッと壁を貫通して攻撃が当たる、とかの理不尽要素はこれで、ここには「ははは、何やってんだボス」みたいな嘲笑できる余裕はミリもない。どこかの大統領が宣戦もなくいきなり自分の国を攻撃し始めて、数日後に学校で爆撃された小学生たちも、不条理以外何ものでもなくて、本当に心が痛む。

もともとはラテン語の形容詞「surdus 」で「耳が聞こえない」、「absurdus 」になると「耳ざわりな」から「馬鹿げた、不合理な」だったらしい。「不協和な」としてるのもあって、たぶん「変なこと言ってる、何言ってんだよ」みたいな。

でもけっこう早い時期に「不条理」の使い方が出てきて、例えば2世紀には神学者Tertullianusが、「神の子が死んだということ、これはそのまま信ずるに値する。何故ならそれは不条理だからだ。」とか「不条理なるが故に我信ず」みたいにabsurdusを使ったらしくて、この頃からあちらはいろいろ大変そう。
この使い方が決定的になったのが、wikiによればフランス実存主義で、「哲学的意味における不条理は、世界に意味を見いだそうとする人間の努力は最終的に失敗せざるをえないということを主張する。」ことらしい。これってミもフタもないんだけど、そこから「既存の意味から自由になって自分の意味を探し続けろ」みたいなことを言ってるらしい。(でもそれって自家撞着なのでは、知らんけど。)
「世界の優しい無関心に心を開き、まったく生き返った思いで生き直すフリ」をすると、そこが「自分は幸福だったし、今もそう」みたいになる出発点になる… (って、無理がないか...?)

ということで原語では「なんか変なこと言ってる」から「逃げ場がない、希望がない、やってらんない」までの振れ幅がある言葉らしいけど、日本語で「不合理」になると後者に限定されるんでしょうか。

それから、「今日は子供の運動会なのに雨が降った」は不条理にはならなくて、「残念だけどしゃーないわ」で済んじゃう。これも不思議。

3/19/2026, 1:06:38 AM