川柳えむ

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 今日は雨の予報だっていうのに、ちっともそんな気配ないじゃないか。
 青空を睨む。

 俺は今、大きく傷付いていた。
 ずっと好きだった幼なじみに、彼氏ができていた。
 嘘だろ……?
 小さい頃は結婚の約束をしたこともあった。それが、小学校の途中から徐々に話さなくなり、中学校ではもうまるで他人のようだった。
 それでも俺は彼女が好きだった。本当は、彼女も俺のことが好きだけど態度に出せないだけだと思っていた。正直今でも思っている。
 だってこんなに長い間一緒にいたんだ。それにあの男より絶対俺の方がカッコイイし。

 はぁ…………。
 大声を上げて泣き出したかった。でも、涙を見せるのは恥ずかしかったから、雨の中ならわからないと思ったんだ。
 それなのに太陽は容赦なく照りつけ、俺に涙を流す隙さえ与えてくれな――、

 ゴロゴロ……。

 空に黒い雲が流れ、音を響かせ始めた。
 お。雨降るか?

 ザー……!

 短い通り雨、にしてはあまりにも激し過ぎる雨。
 雨に佇み泣くなんて余裕もなく、俺は一瞬にしてずぶ濡れになった。
 もうこうなったら笑うしかない。雨で湿った空気とは裏腹に、俺は乾いた笑いを浮かべた。


『雨に佇む』

8/27/2023, 8:42:17 PM