John Doe(短編小説)

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ミー


僕は、僕であることをやめたくなることがたまに、いや、多々ある。
だけど、僕は今、確実にこの世界に存在していて、複雑な器官を体内に備えた『肉体』という名の魂の乗り物として、生きている。
煙草を吸うこともできる。
車を運転することもできる。
本を読むこともできる。
選挙で投票したり、募金したり、偽善者になることもできる。
セックスだって、その気にさえなればできるんだ。
僕の身体は幸運にも五体満足。
でも、心はまるで壊れた玩具みたいだ。

僕の心は、いつも僕にこう問いかける。
『僕は誰だ? いったいどこへ向かっている?』
知らないよ、そんなこと。
分かるもんか、誰にも。
神様なら全て知っているかもしれない。
少なくとも、神に会いたいなんて微塵も思わないけどね。
僕は暗い人間なんだろう。
それをカッコいい生き方をしていると思っているのがまた子供みたいだ。
僕は僕から飛び出してしまいたい。
そして、死をも超越した何かになりたい。
宇宙からすれば、僕らはあまりにもちっぽけだ。
ゴミみたいだ。
それでもゴミは犇めき合いながら生きている。

そんな息苦しい環境から飛び出してみたくなる。
僕は、狂人なんだろう。
いつかもう一度手首を切るかもしれない。
左手首にある古傷が微かに疼く。
これが生きている呪いなんだ。
この疼きこそが僕なんだ。

僕は、自分が女であることをたまに忘れる。

1/7/2024, 11:24:45 AM