壊 玖 麗 秋 エ ク レ ア

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テーマ:一年を振り返る

「…眠………
今年は幾度となく早かったな…終わるの。」
布団にもぐりこみ体を暖めてゆくと眠気がおそってきて、ぼんやりと独り言をつぶやく。
「…ん“………眠…」
意識は途切れた。








「…ここは何処?
あぁ、もしかしたらここは夢?」
青年がパジャマのままむくりと起き上がると、ここは夢なのだとすぐに悟っていた。
薄暗くよくわからない。
身体は暗がりに比例し見えずらくなっておりとてもではないが動くことができない。
ふと、後ろを見ると
そこには、今の自分より小さく、髪型も、服装も、すべて変わっている昔の自分たちが居た。
「…お前ら、だれだ。」
自分なのだとすでにわかりきっているにも関わらずそんなことを聞く青年。 その昔の青年たちはとくに気にしていないように「昔の貴方です、全員。」と淡々と気にせずこたえた。
「昔の、っ俺、、、?」
小学五年生くらいの見た目の少年が、こちらにじりじりと近付いてきてこう説明している。
「今の貴方の記憶の中に残っている幼少期のころの記憶をすがたにして夢に出しているのです。

ボクは、貴方が発表会のときに、急にしゃっくりをしてしまったときの記憶のすがたです。」
恥ずかしい記憶だ。
確かに、先程からこの少年はしゃっくりをし続けており手にはメモがあった。
それはほんとうなのだろう。
「…じゃあ、中学生の頃にレポートを書き忘れて皆の目の前で怒鳴られた記憶は…」
「それは俺です。

怒鳴られたあげく、ぶん殴られて隣のクラスの担任教師が暴力問題と受け取りその担任はクビにされてしまったのですから、記憶には残るでしょう。」
そう言う学ランすがたの彼の頬には赤く腫れている傷がありとてもいたいたしく見える。
「…そうだよな。

他人の記憶とかは無いのか?」
「ありません。

ここには、貴方の記憶しかありません。
…それに、いわせていただきますが…貴方に他人の記憶などありませんでしょう?あったとて、特にはかわらないはずです。」
小学生のすがたの彼がそう言った。
「…は?

おれにだって、記憶程度、あるはずだろ!?なのになぜそんなことがいえるんだよ…っ!!」
「何故?それは僕達が過去の貴方だからですが。

よくいいますでしょう?“自分のことがわかるのは自分だけなんだ“と。それと同義ですよ。

貴方も、“生前“都合が悪くなったときによく使っていたでしょ?自分のことを理解した気になるな、とか、いろいろ使ってたでしょう。

思い出せ」
さっきまで丁寧な口ぶりだったくせにとつぜんそれをやめ、肩をがしりと掴む。
「か、っ…過去の自分だからって、!!
俺のことを理解した気になるんじゃねえよ!はやく記憶から居なくなれ…!いなくなれいなくなれいなくなれいなくなれいなくなれ…!!」

「お前はもう死んでる。
だからいなくなることはできません。」
そいつらはにやりと笑うと黒い霧の濃い方へ向かい霧によって消えていった。
「…俺は死んでない。
いきてるいきてるいきてるいきてる。」
ずっとここで

生き続けてやるから

12/30/2022, 11:00:06 AM