おぼろげ

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【一年前】※長文注意
―喫茶店の薫り―
「一年前の喫茶店ってどんな感じだったの?」
かんながふと呟く。この喫茶店には、過去にトラウマがある高校生〜25歳までの者が店員になれる。かんなは今年からこの喫茶店に入店できるようになり、去年のこの喫茶店のことは知らないのだ。
でも、普通にトラウマがないお客さんは来る。けれど、「奈良から来たんですよ。見慣れない喫茶店があって、入ったらここにいました。」でも、別の人は、「俺は北海道から普通にきたよ?見慣れないビルがあって、そこに入ったら喫茶店だった。え?ここ北海道じゃないの?」と、お客さんも色々なところから来ている。この喫茶店は突如として現れるのだ。
この喫茶店の秘密なんて誰も知る由もない。
「一年前のここ?」
榎本が八木さんがおいてくれたオレンジジュースのストローで遊びながらつぶやく。
「んー、今とそんな変わんないよ?八木さんもいたし、堀川さんもいた。猫の権左右衛門もいたよねぇ〜」
近くに歩いてきたこの喫茶店で飼っている猫がすり寄ってきた。
「あぁ、でも、一人【卒業】したよ。」
「へぇ~。どんな人?」
「真面目だった。俺等のツッコミ担当!伊達眼鏡掛けてて、俺が来る前から居たんだよね」
この喫茶店の店員は【卒業】制度がある。25歳になると、もうここにはこれなくなるのだ。
「……聞いてもいい?…どんなトラウマ、もってたの?」
「……んー、簡単に話すと、イジメ、かな?」
「……なるほどねぇ…」
聞くんじゃなかった。気分が悪くなる。
「というか、一年前もそんな変わらないのね。ツッコミ担当なら私が入ったし」
「え?かんなってツッコミ担当……??まあ、そんな一年でガラッと変わらないよ。この店の人気No.1はパンケーキだし、机も変わらない。なんなら、この喫茶店の秘密も明かされてない。それは一年前まで変わっていないよ」
「一年って、案外短いのかもね」
でも、変わるには、長い期間だ。
あたしも、一年前まではトラウマを引きずって、泣いて、しんどい日々を過ごしていた。。でも、この喫茶店と会って、あたしは変わった。一年は、変わろうとするのなら、変われるものだ。
来年、再来年となった時、あの頃とは大違いだな、って思えるような一年にしよう。
そう、頭の中で感じていた。

5/8/2026, 9:39:53 PM