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花畑
夢を見た。
花畑の中、
小さな私が何も知らずに無邪気に笑い、
頭に花冠を乗せ、
蝶を追いかけて、楽しそうにしている夢。
「いつかね、わたしおはなばたけにすむの〜!
まるたでね、いえをたてて〜」
楽しそうだった。
羨ましいと思う反面
そんなことできるわけないだとか
現実を見たら?とか、
馬鹿なの、とでも
言わんばかりの感想を持つ自分とは大違い。
よっぽど小さな私の方が外身も中身も綺麗だ。

場面が進む。
私は少し大きくなっていた。
「お花畑には住めないみたいだから、諦める。
でも……頭の中は自由にしていいよね!」
想像?妄想?そんな世界に入り浸った。
少し残念そうに、寂しそうに
でもまだ楽しそうに花畑にいた。

また、場面が進む。
また背丈が伸びたようだ。
「私が、頑張らないと。
私はまだまだ。
もっとすごい人も
もっと辛い人もいる。
これくらい我慢しなくちゃ。頑張らないと。
しばらく、あの世界には行けないや。」
悲しそうに、名残惜しそうに
手を振り別れを告げ私は消えた。

しばらくして、パッと私が現れた。
もう、消えた時とは比べ物にならないほど成長していた。
「久しぶり。
また、これたんだ。
最近ね、思い出したの。
私、やっぱりこの世界が好き。
でも、頭の中では生きていけないから
現実を生きなきゃいけない。
私……本当は……
やめよう。
もう、現実を見ないと。
お花畑には住めない。
そろそろ自分が好きなもの探さなきゃ。」
私は花冠を編みその場に残して
逃げるように立ち去った。

しばらくして
小さな人影が現れた。
最初の小さな私だった。
花冠を見つけると嬉しそうに頭に乗せ
蝶を追いかけた。

夢はそこで終わった。

9/17/2024, 1:41:28 PM