_私の当たり前_
また私は貴方との待ち合わせ場所で黙って待つだけ。
真夏のジメジメとした蒸暑い中、貴方を待つのはもうとっくの昔に慣れてる。
待ち合わせ時間から、もう三時間も経っていた。
なんで?なんでこないの?
寝坊したのかな?それとも、事故?
早く来てよ…。
あれからもう数ヶ月はたった。
いつになっても彼が来る様子はない。
私のことなんか、もうどうでも良くなったの?
また、いつもみたいに、笑顔でここに来てくれないの…?
そう諦めの感情を抱いたその時だった。
静かな夕方の道に、ゆっくりと歩いてくる音が聞こえてきた。
私は咄嗟に振り返ると、そこにはバケツと私の大好物の食べ物を入れたレジ袋を持った、彼の姿があった。
久しぶりの彼の姿が、凄く懐かしく愛おしい気持ちが溢れて、彼に駆け寄ろうとしたが、私は動きをピタッと止めた。
私の目の前に、彼が静かにおにぎりと水を置いた。
「…最近、来れなくてごめん。色々と忙しいんだ…。
これ、お前の好きなみかんといちごだよ。」
「…俺さ、なんか全然周りに馴染めなくってさぁ。仕事もミスしてばっかだし。」
彼の、優しくて落ち着いた声色が、何処か暗くて苦しい声になっていく。
「…なぁ、なんで俺を置いていった…?俺さ、まだまだお前とやりたいことあったんだけどな…w」
「、、、逢いたいな、、、。」
彼は、今にも泣き出しそうに搾り出す声で呟いた。
最後に彼は墓に水を沢山かけて、線香の火をつけ、
手と手を合わせて、目を瞑った。
その後は、また私を置いて、静かに去っていく
そんな彼の背中を、いつまでも見守っていた。
その背中を私は追いかけることができない。
会いたい、私もだよ。
また、いつでもここに来ていいからね。
私は、いつまでもここで貴方を待ってるから。
7/9/2024, 1:03:15 PM