#25 透明な水
◇ #18と同じ人な気がする
水は透明だが、無色ではない。
現に多量の水や氷山は青く見える。
それは水が僅かに青緑色をしているためである。
水の色は赤い光を吸収してできるもので、空の青色とは異なる原理による。
ただし、海水面の色には空の色が影響している。
水は冷却されて固体である氷になると、体積が増えて液体の水に浮くようになる。実は、物質としては珍しい性質である。
水は生物にとって重要なもので、水素分子と酸素分子でできた化合物である。
「ふぅ、疲れた」
「レポート終わった?」
「うーん、半分くらいかな」
「あと何書くつもりなの?」
「水が化合物って分かるまで、長い間元素のひとつとして考えられていたーとか」
「うん」
「温度とか重さとか色々な単位を決めるのに使われてたけど、今は違うものに置き換わってるんだーとか、書こうと思ってる」
「なるほど」
「水って使われては捨てられて、悲しい奴だよな」
「分かる気がしたけど、やっぱり分からん」
「ところでさ」
「はい」
「空気みたいな奴、って良い意味でも悪い意味でも言うけど、水みたいな奴とは言わないよね」
「空気と違って水は目に見えるからかな」
「あ、でも湯水のように使うとかは言うね」
「そうだね、使い捨てる前提だけど」
「やっぱり不憫…」
「レポート終わったら、ゆっくり風呂入りなよ」
「…そうする」
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水は巡る
雲となり雨となり
川となり海となり
姿は変えても
水の根幹たる絆は変わらぬまま
地球という檻の中で
たとえ離れがたき絆が分たれても
火の中で再び結びつくだろう
どんなに澄んだ水も
深い水底には光届かず
青と暗闇に染まりゆく
水は熱を奪われ
ゆっくり眠りにつく
手足を伸ばして繋がり合い
今まで溶け合っていた異なるものを
内に押しやり閉じ込めて
ぽこん、ぽこんと
気泡が昇っていくのを見ていた
ああ、ひとつになった
5/22/2023, 12:04:40 AM