二人が討たれた、と聞かされた時は動揺した
悟られないよう
硬く唇を縛り、目をつり上げ、大したこと無いよ、と憮然とした表情で少し顎を引く
本当は胸の奥まで動悸し血の気が引いて
返事の仕草を返すのがやっとであった
でも最期まで諦めない
私は幼い頃からぶっきらぼうで
何かにつけて喧嘩をふっかけ制圧する
何でも一番になりたくて
弱い者は朽ちて知るべし、と強がっていた
いつか私が天下を取る、と高らかに主張する
周りには誰もいなくなっていた
でも、二人はいつも笑っていた
二人だけがわかってくれた
全くの脳天気が心地良かった
未来の将軍様
お前が天下を取ったら俺達を大臣にしてくれよな、右大臣と左大臣で
私達は野戦で名を挙げ
刃向かう敵をなぎ倒し
死線を越えて
名を挙げ
名を挙げ
死線を越えて
名を挙げ
名を挙げ
今夜、天下はもうこれ間近
手の内側まで転がってきた
だけど、最後で溢れ落ちた
城が焼ける
悲鳴が聞こえる
バチバチと音を立て赤く染まる部屋で
二人が討たれた、と聞かされた時は動揺した
本当の名前もまだ教えて貰ってないのに
喉が焦げる
刀を手に取る
黒煙が舞う
視界が燃える
蝶よ、花よ
視界が燃える
まだ諦めない
『蝶よ花よ』
8/8/2024, 2:02:47 PM