【理想のあなた】
そのおしゃべりは
雲みたいに次々と形を変ながら流れて行く
念願叶ってやっと行けた所
昔一緒に見た絵本のような旅
出会った人達
出会った風習
初めての料理に飲み物
何故か苦かったお菓子
息を飲む風景
そこに辿り着くまでの道のりと
見かけた動植物
子供の頃に考えた事
夢に出て来た人が実在した驚き
家族の心配
将来の夢
頭の中に出来てしまった
腫瘍の影響で
現実と空想を行き来してたあなた
ベッドの上で世界を飛び回り
目を輝かせて語るおとぎ話は
しっかり聞けば
その光景が浮かんだ
どんなにチグハグな話をするようになっても
とうとう最期の時まで
人を悪く言うような事は無かった
確かにそういう人だった
何だか人生の集大成のようで
その人柄に対する
神様から最後のプレゼントだと思った
そんなふうに
歳を重ねたいもんだ
5/20/2024, 12:42:25 PM