陽 菜 美

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過ぎ去った日々はもう二度と戻ってこない。
君と一緒に帰った日々はもう二度と帰ってこない。そして君の笑顔が戻ってくることはもうない。

雲ひとつない朝。気分は最高と思いきや吐き気がした。胸騒ぎがする。
でも、僕はいつも通り君と一緒に学校に行く予定だった。待ち合わせ場所に行くといつも先にいるはずの君がいない。最初は寝坊でもしたのかと思って待っていた。でもあまりにも遅すぎる。そろそろ時間だから1人で学校に向かった。

いつもは笑顔で溢れているクラスが今日は何故か静かすぎる。クラスの人に何故静かなのか問いかける。
聞いてみると君は朝、待ち合わせ場所にくる途中に急いで仕事に向かっていた僕のお父さんの車にはねられたらしい。頭はぐちゃぐちゃに潰れて即死だそうだ。
想像しただけでまた吐き気がしてきた。

まだ君に好きの気持ちも伝えてないのに。
まだ君に抱きしめる事が出来てないのに。
先に逝かないでよ。
また一緒に学校行きたいし、伝えたい事いっぱいあるし、デートとかしたいし、寝落ち通話もしてみたい。
君としたい事、行きたいところいっぱいあるのに。こんなのずるいよ。

君を思い浮かべるだけで太陽にも負けないくらい輝く笑顔が出てきて、汗水流して頑張っている君が出てきて、悔しくて、嬉しくて、悲しくて子供みたいに泣きじゃくっている姿が出てきて。思い出しただけで涙がボロボロ溢れてくる。

君を守れなかった、君を救えなかったのが悔しい。君を殺したお父さんが憎らしい。いくら急いでいたとしても、君を殺したことは事実だ。それでもお父さんだって家族だ。恨む事ばできない。

意味のわからない感情の中、僕の心のように土砂降りの雨の中、僕は君の写真を握って外に飛び出していた。自分でもよく分からない。ただただ涙が止まらない。

気づいたら僕は君がはねられた場所にきた。花や、飲み物などが添えられている。
そんなもの目に止めず車が多い中、僕は車道に飛び出した。何故かは分からない。でもそうもしないと僕の心が持たない。息が詰まって仕方ない。

君はこんな僕でも許してくれるのかな。

3/9/2024, 1:43:24 PM