紺色

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かわいがっていたペットが目の前で亡くなった。

温かい感触が、脱力した体が、なんともチグハグで脳がついていけない。

まるで寝ているかのような、今にも目を覚ましそうな、それでも着々と冷たくなっていくその体をそっと抱き上げた。

柔らかい毛を頬に押し当てる。

私の体温で腐食が早まるのは知っていた。

もっと見ていたいなら、触らないほうがいいのは分かっていた。

けれど、自分の脳は自然とそれをよしとしない。

草のような、お日様のような匂いをめいいっぱい吸い込んだ。

綺麗すぎる死に顔はまるで生きているかのように錯覚させる。

呼びかけても、撫でつけても反応しないその姿で私はやっと、状況を飲み込んだ。

涙が溢れて止まらない。

まるであっけなかった。

今までの何年間が一瞬で終わってしまったことが、信じられなかった。

もう鳴かないことが寂しくて、けれども数日後には平然と普段の暮らしに戻ることに。

そんな自分が怖くてたまらなかった。

ペットは次の日に、自分の部屋の観葉植物の下に埋めた。

ケージはその日のうちに解体した。

本当に、跡形もなくなってしまった。

もしかしたら、明日平然とそこにいるんじゃないか。

そんな期待がよぎる。



数日後には、観葉植物が少し沈んでいた。

                              どうしても...

読んでくださりありがとうございます。

5/19/2025, 11:53:33 AM