アルミ合金のムニエル

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二人ぼっち

君達がこれを読んでいるのなら、私は約束を守れなかったということなのだろう。
未来の私が申し訳ない。しかし、私は最後まで争い続けたのだ。君達から離れて行動する、この決断を悔いたことはない。今この手紙を書いてる時も、たった一人で広野に旗を立てた時も、少々自分勝手かもしれないが、これは本当のことだ。
さて、君たちもうすうす気づいていたと思うが、私は病気でもう長くなかったのだ。詳しいところは私にも分からないが、恐らく何か、肺とかそれに準じた臓器に異常が起きたのだろう。正直なところ、私が旅立つ時には、これが最後の希望になることを予見していた。しかし、それを君達には打ち明けられなかった。私が弱かったのだ。
これを言い訳にするつもりはみじんもないが、結果として君達を裏切った形になったことを、心の底から申し訳なく思っている。

この手紙を書いていると、どうもセンチメンタルになってしまって敵わないね。
この辺りには何もなかっただろう。私も色々探さくしたのだが、結局めぼしいものは見つからなかったよ。
この世界はもうかつての姿に戻ることは永劫ないのかもしれない。君たちは覚えていない、かつての景色を見せることが、私の夢だった。私の生きがいだった。
この手紙があった場所からまっすぐ見たところから、ちょうどおしりのような形になってる山が見えるだろう。あの向こうに街のような影があったので、これからそっちに向かってみようと思う。ただ、身勝手な我儘で申し訳ないのだが、君達が遠くに行くのなら、逆方向を目指して欲しいと思う。私はもう長くはないが、もしかしたら、私達が行く末で、何か奇跡が起こるかもしれない。天変地異やらなんやらが蔓延ってるのだから可能性は大いにあるだろう。そうしたら、世界の裏側まで歩いて、そこで私と再会できたら、ドラマチックだと思わないかい?

花壇の前で手を合わせた。
倒壊した街並みを背景にした赫い斜陽に向かって、手を合わせて、目を瞑る。それが私の日課だった。
置かれていたはずの地蔵も見当たらない路肩の向こう。廃墟になった教会を散策していると、どこかから泣き声が聞こえた。瓦礫を掻き分けてみると、そこには一つの汚れた布で大切に包まれている双子がいた。
それが君たちとの出会いだった。

君たちの存在が、私の救いだった。

3/21/2026, 4:26:18 PM