その人の手が好きだった。大きくて少しごつごつして、とても器用な手。いつも綺麗に爪も切り揃えられいて、気品を感じさせる。腕の血管の浮き具合も完璧だ。私はどうしても、その手が欲しかった。もしも願いが叶うなら、肘の辺りで切り落として静かに水槽に沈め、一日中その手をうっとりと眺めていたかった。その水槽を部屋の一番いいところに置いて、私だけのものにしたかった。私だけのものに。こういうのも、本気の恋って呼んでもいいですか?私は本気なんですが。
9/12/2024, 4:55:15 PM