27(ツナ)

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海の底

「海の底のその先って、何があるんだろうね?」
ふたりで海を眺めていた時、君が海を見つめながら真剣な顔をして言う。
「底は底だから、それより下はないんじゃない?行き止まり。」
「…わたし、夢で見たの。」
急に話が変わって僕はついて行くのにやっとだった。
「夢?海の底の夢でも見たの?」
「そう。海の底、のその先。」
「夢の中だと、何があったの?」
「…私たちみたいな人間が住んでた。お店とかビルもあって、こっちと何も変わらない、街。」
「へ、へぇ〜面白い夢だね。本当に海底の先に都市があったら凄いよね!」
いつもと違う様子に僕はソワソワしながらも、君に笑いかける。
だけど君は虚ろな目でずっと海を見ていた。
「わたしね、その夢がずーっと頭から離れなくて。……確かめてみようと思う。」
そう言うと、君はまだ寒い1月の海の中へ落ちていった。
綺麗に真下に落下して、本当に海の底の先にある場所へ行ってしまった。

1/20/2026, 11:00:05 AM