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『色とりどり』

 手の中の袋を持ち上げる。中には色とりどりの飴玉がいっぱい入っている。
 お正月、初詣の帰りに神社の屋台で見かけた飴の詰め合わせを見つけて、何だか無性に欲しくなって買って帰った。帰り道、適当に一つ摘み上げて口に放り込むと、安っぽい、でもどこか落ち着く甘さが口の中に広がって、僕は頬を緩めた。
 今は自分の部屋で飴玉を眺めている。色とりどりの飴玉を見ていると、皆の顔が思い浮かんだ。
 赤と黄色のマーブル模様の飴は、熱い心と、流星のような輝きを放つ星矢みたいだ。
 うっすら透き通った緑色の飴玉は、芯の強さと優しい心を持つ紫龍を連想させた。
 青と白のマーブル模様に赤い点が混じった飴玉は氷河みたいだ。一見クールに見えるけど、心の中には熱い心が滾っているのを知っている。
 赤みがかったオレンジ色の飴玉は兄さん。不死鳥のような強さと激情を表していて、ピッタリだと思った。
 混じりっ気のない真っ白な飴は純真さの象徴みたいで、沙織さんを思わせた。
 そうして袋の中を漁っていると、ピンク色の飴を見つけた。それを摘み上げる。
 僕はピンクという色が好きじゃなかった。それは女の子向けの色だと思っていたし、強さとはかけ離れているように思えたからだ。
 でも今はそんな考えは微塵もない。アンドロメダの聖衣は色など関係なく強く、僕を何度も救い、戦いに勝たせてくれた。それに、見てくれと男らしさや強さには何の関係もないことを、これまで出会った人たちが教えてくれた。真の強さとは、己の心の中にある。
 僕はピンクの飴玉を口に放り込んだ。

1/9/2024, 12:08:45 AM