家から出た途端、昨日より冷たい風が緩い襟の隙間から入り込んでくる。
もう少し厚着して出てくれば良かったかな、そんな考えは陽の光を前に消え失せた。
朝の道は静かで気持ちがいい。
そんなことを考えながら、まだ眠気で締まりのない頬を風に晒すためにマスクを下げてみる。
肺いっぱいに冷たい空気を吸い込むと思わずむせてしまった。けれど、外の匂いは好きだ。
風が運ぶのは、金木犀の甘やかな香りと枯葉の香ばしい香り。それと、シンと冷たい冬の香り。
一時の秋を終えて、もうすぐ冬が来る。
〜秋風〜
11/14/2022, 2:32:57 PM