名前の無い音

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『ミルクティー』


真夜中

学校近くの橋の上
呼び出したのは 同じクラスのやんちゃ男子

2月14日 バレンタインデー
日付は まさに 変わったばかり

「やっぱり あの娘が好きなん?」
「あぁ……うん。ごめん」

一応 渡したチョコレート
一応 受けとめてくれたチョコレート
寒い真冬の午前0時過ぎ

「これ、やるよ」

渡されたのは 温かい缶のミルクティー

「じゃ、帰るわ」

そう言って 彼は帰って行った

真夜中に こっそり家を抜け出すなんて
初めての体験
口から心臓 飛びだしそうだった
フラれるのは100も承知だったけど
一番最初に 渡したかったんだ

フラれてさ
ちょっとだけ 悲しくてさ

でも ミルクティー貰って
その優しさに やっぱり 好きで

なんとも言えない感情で
泣きながら 真夜中の道を帰った

きっと 一生
わたしを好きになってくれる人なんて
現れないだろうと 思いながら


中3のわたし……

大丈夫 だよ
なんと 世界一 好きな人で
世界一 好きだって言ってくれる人
現れるから

だから
それまで しっかり
人間磨きしててください

未来の自分からのお願いです








5/24/2022, 5:06:16 PM