我慢の限界が来て、私たちを酷使する組織を壊滅させてしまったので、私は君と飛び立つことにした
そう、高飛びだ
組織は反社会的だが、それでも構成員だって一人の人間
これまでは組織の力で守られていたが、後ろ盾がない今、内部抗争とはいえさすがに人死が出てしまえば、警察は私と君を捕まえるだろう
そして死刑になるという最悪の末路をたどるのだ
しかし私は死ぬ気はないし、君も同じ気持ちのはず
それでも心配はいらない
この国から逃げる方法はすでに確保している
状況は悪くない
順調と言っていいくらいだ
私たちを追って来られるものはいない
楽に逃げられるよう、私が手を回したからな
私と君で新天地を目指し、面白おかしく派手なことをしようじゃないか
もうすぐ目的地につく
さあ、ここから国外へ飛ぶんだ
……ん?
け、警察!?
なぜここに!?
まさか、君か?
君なのか?
そういえば、君はあの時一人も殺していなかった……
いや、ほとんど戦わなかったと言ってもいい
最初から私を売るつもりだったのか
警察とつながり、自分の罪を軽くするために私を罠にはめたのか
……フゥ、しかたがない
私も数え切れないほどの罪を犯してきた人間だ
君のように選択肢がなかったのではなく、自分の意思でやってきた
組織に入ったのだって、欲望のため
そういえば、君は今まで誰かの命を奪う仕事はやって来なかったな
しないで済むよう、うまく立ち回ったのだろうが
殺人を犯していないなら、私と逃げても得はない、か
まあ、君の手で人生に止めを刺されるのなら悪くはない
せめて君は、人生をやり直して幸せになってくれ
8/21/2025, 11:38:54 AM