中学時代のセーラー服のリボンが好きだった。
制服を着た時にしか触れないあの独特の、ツルツルとした感触。
私服では絶対に選ばない素材で、あのリボンを綺麗に結べた日はなんだかいい事が起こる気がした。
スカートを好んで履かなくなって久しいけれど、この歳になってようやく制服があることの意味や、あの素材の質感の意味が分かってきた。
そして今、好きな服を自分で選ぶことの出来る喜びと、時代、場所、人、目的によって服を選ぶことの大切さが自分の身に置き換えて分かるようになってきている。
いつかインバネスコートを颯爽と着こなせる人間になりたい。その下にはサテンのリボンを結んだブラウスを着よう。そして楽しげに、私は街を歩くのだ。
END
「時を結ぶリボン」
12/21/2025, 2:52:01 AM