『特別な夜』
特別な夜がきた。
今日、世界は終わるのだ。
終末理論。
誰もが聞いたことがあるだろう。
だが、それは唐突に訪れた。
朝、起きた。ベッドを降りる。手洗い場に向かう。歯ブラシを加えながらリビングに行き、テレビのリモコンをつける。
『今日、世界は終わります』
「…………は?」
世界の終わりは、まるで天気予報のように、日常の一部みたいな感じで、流れ星のように唐突だった。
真夏に雪が降ると言われた地域もこんな感じだったのだろうか。いや、まあ、今度は規模が世界なのだけど。
電車は普段通り動いていた。
そうだ。誰もが信じて居なかった。
だから、世界は平和だった。
この世界の終わりの日は、いつも通りの日だった。
それがデマではない事に気づいたのは夕暮れだった。
星が見えるようになるころ。近づいてきたのはナニカだった。
それがなんだったのかは、分からない。
隕石かもしれないし、宇宙人の兵器かもしれないし、もしくは神話生物というヤツだったのかもしれない。
だけどそれを見た人々は、みな……思ったのだ。同じことを。
――あれが近づいたら、世界は終わる。
一気にパニックになった。
風船が弾けたような感覚。
だけど、何処にも逃げ場はなく、対処法も分からなかった。
刻々と夕陽が沈む。
待ってくれ、行かないでくれ!!
そう叫んだところで、世界は止まらず歩みを進める。
世界の終焉は、天気予報100%のニュース番組みたいに予定道理に進められた。
夕陽が沈んだその瞬間。
プチリ、と音がした。
そして世界は終わった。
夜の始まりと共に、世界は終わった。
今日は、特別な夜だった。
世界、最期の……夜だった。
おわり
1/22/2026, 12:45:27 AM