逆井朔

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お題:好き嫌い
 好き嫌い、という言葉がある。
 好き、という言葉に関してはまぁ、特に思うことはない。
 一方で、嫌いという言い方は、その対象を突き放すような冷たさをはらんでいるように思う。決して理解し合うことはないような、受け入れることはないような、近寄ることはないような、そんな壁のようなものが間にある言葉ではないかと思う。
 だから自分は、何かの好みについてなど話す時には、好きなもの、という言い方はするが、その対義語代わりには基本的に、「苦手なもの」という言い方を好んで使っている。
 ただ、例外はある。
 虫などのどうしても好きになれない生き物に対してだ。「ご」から始まって「り」でおわる名前を呼ぶだけでゾゾーッとするアイツとか、何度も何度もしぶとく家の周りに巣を作って群れをなす憎たらしい蜂とか、夏にセミファイナルでこちらを驚かせてきたり、大声で鳴きわめいてきて耳に五月蝿い蝉とか、足がたくさんあって殺虫剤をかけるとその足がばらばらにもげて苦しんで死んでいく姿もちょっと不気味に感じるゲジゲジとか、洗濯物についてくるとどう取り外したものか思い悩むカメムシとか、部屋の中にしれっと入ってきてカサカサ動き回ったり巣を作ったりする蜘蛛とか……他にもハクビシンとかネズミとかコウモリとか蛇とか……もうとにかく色々……色々……。
 彼らもただこちらと同じようにこの世に生を受け、ただ普通に生きているだけなのは重々承知しているけれど、もう生理的に無理なのだ。
 自分の暮らす地域はどちらかといえば田舎にあたり、こういう生理的に無理な生き物たちがあちらこちらを闊歩(?)しているので、本当にしんどい。もし自分がお金持ちなら、虫やこういう生き物を撃退するのが得意な人を雇いたいくらいには嫌いである……。

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執筆時間…20分くらい

6/12/2024, 1:18:09 PM