多田野一人

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哀愁をそそる
秋の夕暮れ…茜色から群青色に変わる空を飛んでいく烏の群れ…刻々と変わり暮れてゆく空と冷たい風に揺れる薄の穂が、あの日に連れ戻そうとしている…
あの日、前の晩から出掛けた父親を残して、母と僕ら3人兄妹弟は、急に電車には乗った。いく先は、東北の母方の祖父母の家だった。途中、東京の伯母にお弁当を貰い、一昼夜かけて数年振りに東北の地を踏んだ…着いたのは、午後の3時頃、既に陽は傾いて居て、夕陽と薄の穂が哀しく滲んでいた…
其れから10日余り、色々あり、また故郷に戻ったけれど、程なく母だけが出て行き…

11/4/2023, 1:38:11 PM