目の下に広がる模様をゴシゴシこすっていたら、通りすがりに肩をぶつけられた。
「痛っ」
わざとらしく顔をしかめてみせるあたしに、
「そんなことしたって消えないよ〜?」
君はぐりぐり頭を押し付ける。
「わかってるよ」
鏡に向き直ったあたしは、エイジング乳液を手のひらにもう一回分追加した。
「私は好きだけどな。だって、」
鏡の世界で君が頬を寄せる。羨ましいほど白い頬。
「木漏れ日の跡みたいで」
自分じゃ好きになれないところさえ、そのまま肯定してくれた、あなたこそが木漏れ日だったよ。
『木漏れ日の跡』
11/16/2025, 9:56:26 AM