失恋
高校生の僕はいわば陽キャだ。
正確に言えば高校生デビューをした陽キャだ。
始めはどうなるかとことかとひやひやしていたが、高一の秋になった今ではそんなことは少しも思わなくなった。
そんな高校生デビューした僕にも好きな人ができた。僕は自分の良いところをさりげなくアピールしたくて、とにかく人あたりの良い優しい人なった。
おかげで雑務を任されるようになってしまったが仕方がない。僕も好きでこれをやっている訳ではないのだから……。
そうして過ごしているうちに一学期が終わりそうな季節になっていた。
そして、修了式の今日、あの人に告白しようと思う。僕は今まで、人当たりの良い優しい人を始めとし、さまざまな仮面を被ってきた。すべてはあの人と付き合うため。
正直とても苦しいこともあった。それでもがんばれた。それで、彼女の彼氏になれる可能性が上がるのならば………。
「好きです。付き合って下さい。」
王道のセリフを放課後、体育館裏で言った。
「ごめんなさい。今の君とは付き合いたくない。」
あぁ、呆気なく終わってしまった一年間の恋…
「そう、ですよね。高校デビューした僕なんてまだあなたには相応しくないですよ…ね、」
徐々に自分で言ってることが苦しくなって、語尾が濁る。
さっさとこの場から立ち去りたくて、早足に言った。「返事を返してくれただけでも、嬉しいです。」「ありがとうございました。」
「あっ、ちょっとまって。」
「私は仮面を被った君が付き合えないの……。」
「だから、仮面を全部外せた時、まだ好きでいてくれたら、告白しにきてくれないか…な?」
えっ、まさかの言葉に頭が真っ白になるが、すぐに嬉しさの色にそまる。
「はい!絶対行きます。」「待っててください。」
まさか、好いてもらおうと被ったものが逆な結果をうむなんて…やっぱり、自分らしくいたほうがいいよね。
fin
6/4/2024, 9:48:26 AM