シトシトよりももっと細かくて
傘をさしても意味がなくて
ミスト状の雨は
静かに僕らを濡らしていく
視線の先に
楽しそうに嫌がりながら
「この雨マジうぜぇ」
なんて笑いながら歩く君の後ろを行く
おもむろに立ち止まった君は振り返って
袖を捲くりあげ晒しだされたその腕を
こちらに伸ばす
「早く帰ろうぜ」
伸ばされたその手を取ることに
躊躇う僕の手を
彼は強引に、それでいて優しくとり、指を絡める
向けられた眼差しに
想いが溢れてしまうかのように
知らずキュッと力が入れば
キュッと握り返されて
一歩
踏み出し
同じ速度で歩きだす
近くて遠かった僕たちは
2023.6.20/梅雨
6/2/2023, 12:30:47 AM