雪だるま

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 二人の男がいた。一人は裕福で、地位も名誉も権力もほしいままにし、そして傲慢だった。もう一人は貧しく、地位も名誉も権力もなく他人から蔑まれ、そして卑屈だった。
 二人は神に願った。なにもかも対照的な二人の願いは同じだった。
「           」
 神は二人が一心不乱に願う様子を黙って見ていた。そして、二人ともに罰を与えられた。

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「他人と自分を比較してはならない。人間は神様の手によって皆等しく創られている。他人と比べることで何か感情を抱くことは、神様への冒涜である」

 罰せられた男のうちの一人がいつか説いていた。たしかにその言葉は真実であったが、彼の不実な行為のために、彼の言葉を誰も信じようとはしなかった。


(優越感、劣等感)

7/14/2023, 2:11:45 AM