いしか

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懐かしく思うことは、沢山ある。
過去というものができて来れば、その分懐かしく思うことは増えてくる。

「華江ー!いくよー」
「はーい。今行く!」

私は今から結婚式へ行く。
誰の結婚式かといえば、友達の優美の結婚式だ。一緒に行くのは、こちらも友達の冬香。
私の家で準備して、そこから贅沢にタクシーで式場へと行く。

「優美、綺麗だろうねー」
「冬香、姿見たら泣きそうだね」
「あははは、ホントだ」

そんな会話をタクシーでしながら、私はふっと思い出してしまった。
優美の旦那となる男性は、私達と大学の同級生で、前、私が好きだった人だ。

もちろん、優美も冬香も私が好きだった事は知らない。教えていない。

そんな彼とは、3年前に一度だけ一夜を共にした。お酒に流されてという、よくあるパターンだ。
けれど、その夜はとても幸せで、一夜だけだったけれど彼の優しさや温かさが心地よくてやっぱり好きだ。と思ったけれど、半年後に優美と付き合い始めたと知った時は中々のショックを受けたのは言うまでもない。

けれど、今では時間が吹っ切らせてくれ、彼を見ても何とも思わなくなった。
さっぱりした性格で良かったと心から思う。

「優美、幸せになれるかな〜華江。」
「なれるよ。大丈夫。」

そんな会話を繰り返しながら、私は幸せ溢れる式場へと向かっていくのだった。

10/30/2023, 9:20:25 PM