シャイロック

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わぁ!

 プレゼントの箱を開けたとたんに、朋美は「わぁ!すごい、どうしてわかったの?こういうの欲しかったの!」
 今年の流行色だと、売り場の女性に言われて選んだのだが、僕は少なからず驚いていた。こんなに喜んでくれるなんて。
 うちの母は、一人っ子の僕が何かプレゼントしても、全然喜ばなかったんだ。それどころか「こんな色、派手で着られないわ」「この時期からじゃ、つけられないわね」「私これ、使わないのよ」
 性懲りもなく毎回選んでは、今度は喜んでくれるかなと差し出したプレゼントは、ことごとくけなされて、選んだモノも輝きを失う。
 だけど今、朋美は、誕生日プレゼントのトップスを胸に当てて似合うかと聞いたり、広げてはつくづく眺めたりと、全身で喜んでくれている。
 「ごめんね、ブランドものは買えなかったんだ。そんなに高いものじゃないよ」
「値段じゃないわ、啓太が私のために選んでくれたのが嬉しいのよ。それに、とっても肌触り良いし、ブランドなんて無くっても良いものは良いものよ」
 こんなに喜んでくれるなら、次は…クリスマスか!頑張って選んじゃうぞ。あーやっぱり喜んでもらうと嬉しいな。朋美が「わぁ!」って言ったときの笑顔は最高だったよ。
 

1/27/2025, 3:28:30 AM