月影

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 幼い頃、人生について考えていなかった。日々が明るすぎて、足元の陰にさえ目を向けようとしなかった。
 幼い頃、望んだ月も今では重すぎる。明日が怖い。朝が怖い。目を向けたくない、反らしたまま生きていけたらいいのに。
 でも、それでも、一歩ずつ積み重ねた。
 怖くても、足を止めない。一人だったらここまでしない。布団に包まって一日中部屋に居た。けれど今は、大事な人ができたから。
 だから、私は幾ら怖くても前へ前へ歩みを進める。
その人の笑顔を見ていたいから。

9/15/2025, 12:22:51 PM