『たまには』
今、俺は公園に来ている。理由は散歩だ。
とても天気が良く、清々しい気分になる。
たまにはこんなのも良いだろう。これで最後になるかもしれないのだから。
『はは、なんてな。……全く、縁起の悪い。』
そのような事を言いながら、一緒に散歩に来た俺の連れに注意する。
『あまり遠くに行くなよ〜。お前小さいから見つけるの大変になるんだからな〜』
こんな日が、ずっと続けばいいのに。
そう思ったその時、急に胸に激痛が走った。
『もう生きる気なんてねぇよ。さっきはああ願ったが、もう十分幸せだ。』
そう独り言を呟き、俺は帰ろうとする。
『お〜い! もうそろそろ帰るぞ〜!』
そう呼びかけると、俺の足元まで来たので一緒に歩いて帰る。
……いつ言えば良いのだろうか。近々俺がいなくなると。
言える訳ない。俺たちは家族だから。俺は好かれていると思うから。寂しい思いをさせてしまうから。
でも、わかっている。言わないなら言わないでその時が来たら、悲しませることになるのは。
『俺は、どうすれば良いんだろうな、たま?』
『にゃー』
やっぱり、たまには言えないな。ごめん、たま。
3/6/2024, 2:53:23 AM