せつか

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『秋風に たなびく雲の 絶え間より もれいづる月の 影のさやけさ』

お題を見て浮かんだのがこの歌だった。
百人一首、第七十九番。左京大夫顕輔の歌。
詠み人は今、ネットで調べて分かったのだけれど、歌自体は割とスラスラと出てきた事に驚いた。
よくよく考えたら平安時代の、自分とは何の関わりも無い人が詠んだ歌が2025年という、千年も時を隔てて生きている私の心に刺さったという、奇跡みたいな事象だと思う。

それは千年の時を超えても変わらない何かがある証なのだろう。

自然の情景と、それに心動かされる人の感性。
不変のものなど何一つ無いと思う瞬間と、変わらない何かが確かにあるのだと思う一瞬。
それは私という一人の人間の中に、矛盾することなく存在する感覚。

秋風という言葉と、そこから連想する冷たさと寂しさと美しさ。寒さに肩を竦めながらそれでも月を見上げたくなるのは、平安の都でも、現代の街でも変わらないのだ。


END


「秋風🍂」

10/22/2025, 3:42:39 PM