キラキラと太陽を反射させて揺れる水面。
ちゃぷ、と音と共に痺れるような冷たさが体全体を襲う。
1歩、また1歩と前に進めば眩い太陽のせいか潮風のせいか、ツンと目が染みてくる。
これから来る未来に期待と不安を胸にしながらも、1歩ずつ、確実に前に進む。
どぽんと全身が沈むと、静寂な世界が来ると思っていた予想とは反し、この世界はとても賑やかだ。だが、不快にはならない。
自分の意思と関わりなく手足が大きく動く。意識がどんどんぼんやりとしていくと同時に、手足も動かせなくなってくる。
嗚呼、望んだ終わりだ。と閉じていた目を開く。
光が降り注ぎ、まるで異世界か天国に来たかのような気分になる。
絶望していた世界ではあったが、最後に綺麗と思える感情が残っていた事に喜びを感じながらゆっくり意識を落とした。
力なく波に揺れながらも沈んでいくその人は、とても綺麗に微笑んでいた。
6/11/2025, 5:58:16 AM