ある山の中に小さな家がありました。
そこにはお父さんとお母さんと子どもたちが住んでおりました。
あまり裕福ではなかったのですがとても親切な家族でした。
ある日、お父さんが街に仕事に行った時ひとりの老人を助けました。老人はお礼に一本の苗木をくれました。
お父さんは家の前にその苗木を植えました。子どもたちは毎日水をやり苗木の成長を見守りました。
翌年にはみかんの木には実がなり、とても喜んでみんなで食べました。
それからも毎年の様にみかんの実をつけ、家族を幸せにしました。
天候が悪く、他の作物ができない年でも、そのみかんの木だけはしっかりと実をつけるのでした。
子どもたちは大きくなり、みんな家を出て行きました。
それでも年末年始には家族と一緒に山の家に帰ってきました。そんな時、みかんの木はたっぷりと実をつけみんなで揃ってみかんを食べるのでした。
お父さんもお母さんもいなくなり、家にはもう誰もいません。
みかんの木もすっかり年老いて実をつけることがなくなりました。
ある日、道に迷った旅人がおりました。旅人は動くことができなくなりみかんの木に腰をかけました。
旅人の前にぽとりとみかんの実が落ちてきました。旅人はみかんを食べまた歩き出すことができました。
それ以降、みかんの木に実がなる事はありませんでした。
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お題:みかん
12/30/2024, 8:02:00 AM