当時小学生の俺からすれば、彼女が引っ越すということは今生の別れに等しかった。同じ教室で授業を受けていた彼女ともう会えなくなる、その衝撃にやられあほの小学生であった俺は連絡先を渡すなんて手段も思いつかずただ、板書をする彼女の背中を見ていた。というかそも彼女に対して何かを思ったこと自体、その時が初めてだった。今思えばその時、俺の中で何かが起きていたのだ。放課後仲の良い女子たちが別れを惜しみながら手紙やらを渡しているところを目で追えば、笑顔の彼女も映る。控えめなえくぼがあらわれるのだと知ったのは今更なことだった。
// 君と最後に会った日
6/26/2024, 8:58:43 PM