千歳緑 (※お題一日置きスタイル)

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風に乗って
楽園



 昔はよく空を飛ぶ夢を見た。
 自分の家の団地の屋上から飛んで行く夢。
 ドローンのような空からの景色は、空想のくせにやたらリアルだった。



 いつからだろう。
 そんな夢を見なくなったのは。

 

 鳥が体重を軽くするため、脳や内臓が少ないと知ってからか。
 何度も乗っている飛行機の、万が一に怯えるようになったからか。

 空を飛ぶことに夢を持たなくなったのは、いつからか。





 …もしかしたら、歩くのが楽しくなったきたからか。



 飛行機もそうだ。
 バスや電車に乗る。自転車に乗る。
 それも無理ならひたすら歩く。

 目的地に辿り着く喜びを知ってしまったからか。



 それは、それで良いじゃないか。
 空は飛べなくても、私は楽園に行ける。



 地に足をつけるのも、悪くない。

 

4/30/2026, 12:09:31 PM